前回、taikiito.comでメールを使えるようにしたところまで書いた。SPF/DKIM/DMARCを設定し、テスト送信もした。そして「一部の宛先に届かない」というオチで終わっていた。今回はその続き、というか顛末。

DMARCを足しても、まだ消える

前回の時点ではDMARCを設定していなかったので、まずそこを埋めた。

  • DMARC(TXT、_dmarc.taikiito.com): v=DMARC1; p=none; rua=mailto:(レポート送付先)

外部のDNSチェッカーで反映を確認し、伝播も待って、満を持して再送。……届かない。バウンスも一切なし。エラーもない。ただ、何事もなかったかのように消える。ポストに投函した手紙が、配達員ごと蒸発したような感覚だった。

SPF・DKIM・DMARC、教科書通り全部揃えたのに、というのがこの時点のモヤモヤ。原因は認証の失敗ではなく、センダーレピュテーション(そのドメインがどれだけ送信履歴を積んで信頼されているか)だと分かった。フィルタが厳しい受信サーバーほど強く効くらしい。SPF/DKIM/DMARCは「なりすましでないこと」の証明であって、「信頼できる送信元であること」の証明ではない。似ているようで全然別物、というのをここで痛感した。打てる手はもう無く、あとは時間が積み上がるのを待つだけ。地味に一番効かないタイプの「解決策」だ。

iCloud+のカスタムドメインメールで運用することにした

土台はApple iCloud+の「カスタムメールドメイン」機能。必要なレコードはMX・SPF・DKIMの3つだけで、Appleの設定ウィザードが値をそのまま出してくれるので、ほぼコピペ作業だった。

  • MX: mx01.mail.icloud.com / mx02.mail.icloud.com
  • SPF(TXT): v=spf1 include:icloud.com ~all
  • DKIM(CNAME): sig1._domainkeysig1.dkim.taikiito.com.at.icloudmailadmin.com

Fastmailと迷ったが、思い込みが一つ崩れた

有名な対抗馬としてFastmailがある。料金以外の軸で比較してみた: 標準プロトコル対応、Apple以外の端末での使い勝手、ドメイン・エイリアスの上限(iCloud+はApple ID一つにつき数個、Fastmailはほぼ無制限+catch-all)、サーバー側のフィルタルール、送信ドメインとしての評判、データの持ち出しやすさ。

比較の途中で、自分の思い込みが一つ崩れた。iCloud MailはApple製品専用だとばかり思っていたが、実際にはimap.mail.me.com / smtp.mail.me.comにアプリ専用パスワードでアクセスすれば、Thunderbirdのような普通のIMAP/SMTPクライアントからも使える。Apple Mailの「書き出す」機能で.mbox形式のバックアップも取れる。「ロックインされて出られなくなる」という一番の懸念は、調べてみたらほぼ杞憂だった。

結局、iPhoneのバックアップ用に元々iCloud+を契約しているので、カスタムドメインのメールボックスを足しても実質タダ(容量を共有するだけ)。ロックインの心配もほぼ無いと分かった以上、今Fastmailに乗り換える動機はない。Apple以外の端末がメインになるとか、エイリアスを大量に使うようになったら、その時また考える。

完璧に設定しても、ドメインの「信頼」だけは時間でしか買えない。今回学んだのはそこに尽きる。

つづく。